Nero Frenesi

少し癖のあるアクセントで　君はまた同じ言葉　間違える
弾けたスネアの音　隣の部屋から
練習飽きたみたい　今度はギター掻き鳴らす
一人で幾つも違う曲弾く　イントロだけ

オレンジの水銀燈　雨に滲んで
色の無い外の真ん中辺り
三つ燻って　踊るように揺れている

少し手を伸ばす　ベランダから　君が歩く真下近いのに
ラジオのクラリネット　声を掻き消して
もう一度呼ぶつもりだった　今度は私の方が先に
青い実生る枝越し　目を合わす　何度と無く

急に晴れになる　昼の遅い時間
子どもが走る　透明のサンダル忘れて
街路樹の突き当たり　そしてまた曇り

見上げた窓　高く煌いた機体
真っ白な文字　二つふわり　吐き出す
消えかけのアルファベット　空に溶ける

オレンジの水銀燈　雨に滲んで
色の無い外の真ん中辺り
三つ燻って　踊るように揺れている